
永代供養とは?種類と費用相場やメリット・デメリットを解説


永代供養とは、子どもや孫など次の世代にお墓を継がない供養方法のことです。一般的なお墓では草むしりやお墓の掃除などが残された家族の役目ですが、永代供養では寺院や霊園の管理者が遺骨の供養と管理をします。近年ではお墓の管理の負担を子どもや孫に負わせたくないというところから、生前に永代供養を選択する方も珍しくありません。
当記事では、永代供養の種類や費用相場、メリット・デメリット、注意点などについて解説します。終活をしている方は、ぜひお役立てください。
目次
永代供養とは?
永代供養とは、亡くなった方の遺骨を寺院や霊園などが遺族や子孫に代わり、管理・供養する埋葬方法のことです。契約した期間に応じて個別に安置した後合祀する形と、初めから合祀墓へ埋葬する形に分かれます。合祀後も寺院や霊園などの管理者が存在する限り遺骨の管理・供養は続くため、無縁仏・無縁墓となる心配がないことが特徴です。
永代供養では一般的なお墓とは異なり、土地や墓石を用意したり受け継いだりする必要がありません。そのため、これまでは身寄りのない方や継承者(後継者)を確保できない方の納骨方法として用いられてきました。お墓に対する価値観が多様化した近年では、埋葬費用をかけたくない方や、子どもや孫に墓地を管理する手間をかけたくない方などの利用も増えています。
永代供養の種類と費用相場
一口に永代供養と言っても、埋葬する場所やお墓の規模・形状はさまざまです。永代供養の種類は、大きく分けて個別墓・納骨堂・永代供養墓・樹木葬の4タイプに分けられます。どの埋葬方法を選ぶかによってかかる使用料は大きく異なるため、永代供養を検討する際は費用相場もチェックすることが大切です。
ここでは、永代供養の費用相場を種類ごとに解説します。
個別墓
個別墓を利用する際にかかる費用は、永代使用料と年間管理費(維持費)の2つです。永代使用料の相場は30万円〜200万円程度、年間管理費は1万円〜1.5万円程度の金額設定となっています。
一定期間専用の土地や空間を契約して遺骨を管理・供養する個別墓は、骨壺を埋葬するスペースや墓石などの用意が必要となるためほかの埋葬方法よりも割高となります。施設によっては一般墓と同様のお墓を建てられたり、お供えやお参りができたりするほか、分骨や改葬に対応してくれるところも珍しくありません。故人単身のみならず、夫婦や家族単位で入れるお墓もありますが、契約期間が過ぎれば合祀墓に移されます。
納骨堂
納骨堂を利用する際にかかる費用は、永代使用料と維持管理費用の2つです。管理費は5千円〜2万円前後となり、永代使用料は種類によって以下のような金額設定となっています。
合葬式 | 10万円程度 |
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位牌式 | 10万円~20万円程度 |
仏壇式 | 50万円~200万円程度 |
ロッカー式 | 20万円~50万円程度 |
機械式 | 80万円~200万円程度 |
永代使用料は安いものの管理費が高い場合や反対のケースもあるため、施設によって費用が大きく変わります。必ず総合的にかかる金額についてよく確認をしましょう。
永代供養墓
永代供養墓を利用する際にかかる費用は、永代使用料のみです。永代使用料の相場は3万円〜30万円程度の金額設定となっています。
永代供養墓では、初めから共同の墓石や霊廟の中にほかの方の遺骨と合わせて埋葬するため、後から特定の遺骨だけを取り出すことはできません。ほとんどの施設で管理費がかからず、永代供養の中でもっとも安価な埋葬方法となります。
樹木葬
樹木葬を利用する際にかかる費用は、永代使用料に埋葬料や管理費も含まれているケースが一般的です。樹木葬の永代使用料は、種類によって以下のような金額設定となっています。
個別式 | 20万円~150万円程度 |
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集合式 | 15万円~60万円程度 |
合祀式 | 5万円~20万円程度 |
樹木やお花が墓標となる樹木葬は、墓石を必要とする埋葬方法よりも比較的安価です。ただし使用するスペースや植える樹木によっても費用は異なります。契約期間が過ぎれば合祀されることに変わりはありません。
永代供養の費用は誰が払うべきか
永代供養で継続して支払いが必要な管理費などがある場合は、誰が支払うかを家族でよく確認しなければなりません。万が一、支払う方が支払えなくなったときのことも考え、支払えなくなった場合は誰が代わりに支払うかも話し合って決めましょう。
納骨堂を利用する際には、「永代使用料」と「管理費(維持費)」の2つを支払う必要があります。以下では、一般的な納骨堂での支払いについて解説します。
納骨堂では永代使用料は契約者本人
永代使用料は家庭によって誰が払うかは異なりますが、契約者本人が全額支払うのが一般的です。
契約方法によっては33回忌までの管理費を一括で納付することもあり、永代使用料と一括納付分の管理費をまとめて支払う方法を選択する方も多いです。契約者本人が全額支払いを行えば後から発生する管理費がなくなるので、残される家族の金銭的負担を抑えられます。
生前贈与という形で継承者の子どもを契約者にして、親が全額支払うケースも多いです。ただし、家族名義で利用する場合は納骨する際に別途費用の支払いが必要になるので、別途費用を誰が支払うか考えなければなりません。
子どもが親のために納骨堂を用意し、納骨堂の費用を支払うケースも多いです。納骨堂の費用を支払う場合は長男が支払いをすることもあれば、子どもたちで費用を分担して支払うこともあります。誰がいくら負担するのか、よく話し合うことが大切です。将来的に同じお墓に入る予定の方がいる場合は、同じお墓に入る予定の方とも支払いについて話し合いをしましょう。
費用を払う人がいなくなった場合
滞納が続いた場合、納骨堂から親族などに対して催促状が送られてきます。継続して使用する場合は誰が費用を支払うかを決めましょう。
滞納が続くと利用し続けられないと見なされ、遺骨がほかの方の遺骨と一緒に合祀されることになります。合祀されたあとは個別に遺骨を取り出すことはできないので、費用の滞納には十分な注意が必要です。一時的に支払いが難しくなる場合は、直接利用している施設に相談をしましょう。
合祀されるといっても、一度滞納したからといってすぐ勝手に合祀されるわけではありません。合祀されることになった場合も、合祀墓に移動された上で供養されます。どれくらいの期間を滞納した場合に合祀されるのか、あらかじめ納骨堂への確認が必要です。
支払いをしていた方が亡くなり、支払いを引き継いだ方が長期にわたり滞納するケースは少なくありません。納骨堂側としても管理に困らないよう、契約する際に「滞納が発生した場合は合祀とする」と説明をしています。
滞納した場合の対応は納骨堂によって異なります。細かい説明は契約書に書かれていることが多いため、契約書をよく確認しましょう。
永代供養のメリット・デメリット
近年は永代供養を選ばれる方や、興味を持たれる方も増えています。永代供養には人によって大きなメリットがある反面、デメリットも生じるため慎重な検討が必要です。
下記のような方であれば、永代供養に向いていると言えるでしょう。
【永代供養に向いている方の特徴】
- お墓の管理や継承者問題に煩わされたくない方
- 先祖代々のお墓に入りたくない方
- お墓参りを重視されない方
- 信仰へのこだわりがない方
以下では、永代供養におけるメリットとデメリットを解説します。
永代供養のメリット
永代供養における主なメリットは、以下の3つです。
お墓の維持管理が必要ない |
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永代供養では遺骨の管理や供養は寺院や霊園が代行してくれるため、お墓掃除や墓地・墓石の定期的なメンテナンスを必要としません。お参りの間隔が空いてもお墓が荒れる恐れがなく、いつでも都合のよいときに会いに行けます。お墓の継承者がいない方だけでなく、遺された家族や子孫にかかる負担を軽減したい方にとっても、安心できる供養方法と言えるでしょう。 |
一般的なお墓よりも安価で利用できる |
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永代供養は基本的に使用するスペースが少なく高価な墓石を必要としないため、一般的なお墓に比べて安価な傾向にあります。個別に墓石や樹木を用意する場合は多少高額となるため一概には言えませんが、通常のお墓に比べて半額以下に抑えられるケースが少なくありません。 |
特定の宗教を信仰していなくても利用できる |
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一般的なお墓を建てる場合、墓地を管理する寺院や霊園の檀家となることが求められます。しかし永代供養を選ぶ場合、宗旨・宗派を不問とする施設が珍しくありません。特定の信仰を持ちたくない方や、実家と婚家で信仰が異なる方にとっては利用しやすいでしょう。 |
永代供養のデメリット
永代供養における主なデメリットは、以下の2つです。
合祀されると遺骨を取り出せなくなる |
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永代供養では、一定期間経過後は個別墓であってもほかの方と同じ場所で合祀されます。合祀されるとほかの遺骨と混ざり合ってしまうため、故人の遺骨だけを特定して取り出すことができません。合祀後に分骨や改葬をしたくなってもできないことは、永代供養のデメリットと言えるでしょう。 |
周囲の理解を得にくい |
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永代供養は比較的新しい供養スタイルであり、一般的な認知度はさほど高くありません。「お墓は先祖代々から受け継ぎ、子々孫々守り抜く」という考えの方や、檀家として自分たちの務めに誇りを持つ方も多くいます。そのため、家としてのお墓を持たず最終的に合祀されることや、菩提寺との付き合いを絶つことに反発を感じる方がいると、トラブルになる可能性があります。 |
永代供養をするときの注意点
お墓選びでは、必ず事前に遺族や親族の方々に意向を聞きましょう。お墓とは、亡くなった方のために用意するものであると同時に、遺された方たちの心の拠りどころともなるものです。
永代供養ではお墓にかかる手間や費用が少なくなる反面、故人を軽んじている・手を抜いていると感じる方もいます。合祀されると遺骨が取り出せなくなるため、分骨や手元供養を希望する方がいた場合にトラブルへと発展しかねません。先祖代々から受け継がれてきたお墓がある場合、墓じまいをするのか否かでもめる可能性もあります。
永代供養を選ぶ際は、手厚い供養が必要だと考える方や分骨を望む方、お墓を残すべきだと考える方がいないかを確認し相談することが大切です。合祀後は分骨や改葬ができなくなることを伝えた上で、故人に関わる方全員が納得できるまでしっかりと話し合いましょう。
まとめ
永代供養とは、故人の遺骨を寺院や霊園などで遺族や子孫に代わって管理・供養する埋葬方法のことです。永代供養には個別墓、納骨堂、永代供養墓、樹木葬などがあり、それぞれ料金が異なります。納骨堂では契約者本人が全額支払うのが一般的ですが、誰が支払うか、また支払えない場合変わりに支払う方は誰かをしっかり話し合うことが大事です。
永代供養はお墓に必要なスペースが少なく高価な墓石を必要としないため、一般的なお墓に比べて安価な傾向にあります。ただし、永代供養は認知度がまだ高くなく、親族内で供養方法やお墓に対する価値観の違いで衝突する可能性もあるため、相談し話し合いましょう。
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