納骨堂とは?種類と費用の内訳や相場・納骨式についても解説!
納骨堂とは、故人の遺骨を納められる収蔵スペースが設けられた室内墓地です。ロッカー式や仏壇式、自動搬送式などの種類があり、家族形態ごとに最適な形式を選択できます。納骨堂の利用を検討している人の中には「納骨式は行えるのか」「費用と価格相場が知りたい」という人もいるでしょう。
当記事では、納骨堂を利用する費用の内訳と価格相場、納骨式で必要な準備、儀式の流れを説明します。納骨堂の利用や納骨式に関心がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
納骨堂とは
納骨堂とは、故人の遺骨を納められる室内墓地です。個人や夫婦、家族などの単位で遺骨を収納できます。元々は墓石へ納骨するまでの間、一時的に遺骨を預かるための施設でした。一般墓地、樹木葬などさまざまあるお墓の一種であり、宗教などの制約がないため誰でも利用できるのが特徴です。
一般的に、納骨堂には利用期間ごとにプランが設けられています。三回忌や十三回忌などの節目に合わせて3年・13年・33年などからプランを選べ、利用期間の延長も可能です。利用期間終了後は、永代供養墓で合葬されます。
【種類別】納骨堂を利用する費用の内訳と価格相場
納骨堂を利用するには、さまざまな費用がかかります。納骨堂の利用を検討するにあたり、まずはどのような費用がかかるのか確認しましょう。
納骨堂の利用にかかる費用の内訳は、下記の通りです。
永代供養費 | 永代供養とは、お墓の承継者がいない場合に寺院や霊園が代わりに供養や管理を行うことです。永代供養費は、永代にわたり遺骨を供養してもらうためにかかる費用をいいます。 |
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管理費 | 管理費は納骨堂の維持管理にかかる費用で、永代供養料に含まれている場合もあります。 |
法要料 | 法要料は合同法要とは別に法要を希望する場合にかかる費用で、読経してくれる僧侶へのお布施です。 |
戒名料 | 戒名料は仏教方式で供養を行う場合にかかる費用で、相場は宗派や戒名の位によって異なります。 |
管理費は、最新システムを導入している施設ほど高額になる傾向があります。仏教以外の宗派の場合は、戒名が不要となるケースがほとんどです。
ここでは、納骨堂の種類別に施設の特徴と価格相場を解説します。
ロッカー式
ロッカー式の納骨堂は、ロッカー棚のように納骨壇が並んでいるのが特徴です。お墓を建てるまでの一時的な収納スペースとして利用する人が多いでしょう。施設によっては、お供えなどができないケースもあります。
ロッカー式の価格相場は、下記の通りです。
価格相場 | 20万円程度~ |
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納骨壇が上段にあるほど価格が高くなりやすく、下段のほうが安価になる傾向があります。
仏壇式
仏壇式の納骨堂は、個人用や家族用など契約単位で利用できる仏壇が並んでいるのが特徴です。納骨スペースだけでなく仏壇スペースも備わっているため、遺影やお供え物なども置けます。
仏壇式の価格相場は、下記の通りです。
価格相場 | 個人単位:30万円程度~ 家族単位:100万円程度~ |
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納骨堂の利用期間は、最後の納骨日からカウントされるケースが多く見られます。
位牌式
位牌式の納骨堂は、位牌を並べた状態で合同供養を行うのが特徴です。「位牌と遺骨を一緒に置く」「位牌と遺骨は別々の場所に置く」のどちらかを選べます。
位牌式の価格相場は、下記の通りです。
価格相場 | 10万円程度~ |
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ロッカー式や仏壇式に比べて使用するスペースが少ないこともあり、価格は割安です。従来の位牌式は位牌が密集するタイプでしたが、近年は個別にスペースが設けられている施設も増えています。
自動搬送式
自動搬送式の納骨堂は、お参りに行くと参拝スペースまで自動で遺骨が搬送される仕組みです。都市部に多く、ビル全体が納骨堂となっているため「ビル型」「マンション型」と呼ばれることもあります。
自動搬送式の価格相場は、下記の通りです。
価格相場 | 50万円程度~ |
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自動搬送式は、コンピューター制御でセキュリティー面も優れています。ただし、掃除や管理の手間がかからないこともあり、ほかの種類に比べると割高と言えます。
納骨堂の利用が向いている人の特徴
近年、生活様式の変化や墓地の継承者問題などにより、納骨堂の利用を検討する人が増えています。
納骨堂の利用が向いている人の特徴は、以下の通りです。
・お墓の跡継ぎがいない
お墓の後継ぎがいない人や墓じまいを考えている人には、永代利用の前提がない納骨堂の利用が適しているでしょう。墓石を建てるとなれば管理が必要となりますが、納骨堂であれば、期間を決めて供養してもらえます。
・自宅の近くにお墓が欲しい
お参りのしやすさを考えると、お墓が自宅や駅の近くにあったほうがよいと考える人もいます。納骨堂は、交通のアクセス面に優れているのが特徴です。お墓が室内にあるため、参拝者は季節や天候を問わずお参りできます。
・費用をできるだけ抑えたい
墓石を建てる場合の価格相場は、200万円~300万円程度です。納骨堂の利用により、お墓にかかる費用を大幅に抑えられます。「できるだけ費用を抑えたい」「回忌法要までは供養をしたい」という人におすすめです。
・お墓の管理の負担を子どもや孫に負わせたくない
お墓の種類によっては、子世代に管理の手間や費用の負担がかかる場合があります。一方、納骨堂はお墓の管理や供養にかかる費用を一括で支払う場合が多いため、追加費用がかからないケースがほとんどです。
お墓に対する考え方は、個人や世代によっても異なります。パートナーや家族と話し合った上で、お墓の種類を検討しましょう。
納骨堂でも納骨式は行える?
納骨式は遺骨を納めるために行う儀式のことで、納骨堂でも行えます。納骨堂は、主にお寺が管理する場所とお寺以外が管理する場所に分けられ、お寺が管理している場合は納骨式を行うのが一般的です。お寺が管理していることから、納骨堂で納骨式を行わないとお寺との関係性にも影響するので注意が必要です。お寺が管理している納骨堂を利用する際は、納骨式を行ったほうがよいでしょう。
お寺以外が管理している納骨堂の場合は、納骨式を行わなくても特に問題ありません。家族だけで納骨する人や、僧侶を呼ばない人もいます。僧侶を呼ぶ場合でも、納骨堂の人に相談すれば紹介してもらえるので便利です。「納骨式は検討中」という人や「身内だけで納骨したい」という人は、お寺以外が管理している納骨堂を利用するとよいでしょう。
納骨堂で行う納骨式に必要な準備
納骨式を行う際は、お墓を用意したり僧侶に読経の依頼をしたり、さまざまな準備が必要です。当日に慌てないように、必要な準備について事前に知っておきましょう。
お墓の準備をする | お墓は完成するのに時間がかかるため、早めにデザインや金額などを決めておきます。お墓のタイプにもよりますが、最低でも建つまでに2~3か月はかかると言われているので、生前から準備すると安心でしょう。 |
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納骨堂に連絡する | 納骨式に僧侶を招くときは読経の依頼も必要です。早めに手配すれば僧侶・神職に迷惑をかけずにすみます。読経はあくまで仏式による儀式になるので、無宗教の場合は頼まなくても大丈夫です。 |
費用と日程を決める | 納骨式の内容によって費用はさまざまです。お墓が必要なら石材店への墓石の彫刻費用がかかり、僧侶へのお布施や謝礼なども必要になります。どのような内容を行うかによって変わるので事前に予算を決めておくと安心です。納骨式は、一般的に四十九日法要のときに行います。違う日に行う際は、なるべく早めに決定しましょう。 |
参列者に連絡する | 最後に参加者への通知です。人数が少ない場合は電話や口頭でも構いませんが、大人数を招く際は案内状を作成し送付します。案内状には納骨式を行う場所・集合場所・喪主の連絡先などを記載し、返信用はがきも忘れずに同封してください。 |
納骨堂での納骨式の服装
納骨堂で納骨式を行う場合、四十九日を区切りとして適切な服装が変わります。マナー違反とならないように、タイミングに合った服装を心がけましょう。故人を偲ぶ場であることを考え、宝飾品は「結婚指輪のみ」「パールを身につける」など最低限に抑えるのが大切です。メイクは控えめであれば問題ありません。
ここでは、納骨式の服装を「四十九日以前」「四十九日以後」に分けてそれぞれ紹介します。
四十九日以前の納骨式
四十九日以前の納骨式では、喪服の着用がマナーです。黒のスーツやワンピース、ブラックフォーマルなどで全身を黒で統一しましょう。
納骨式の時期に明確な決まりはなく、地域や地方によってタイミングが異なります。通夜や告別式で着用した喪服を使うときは汚れがないか、クリーニングに出すときは日取りに間に合うかを確認しましょう。
四十九日以後の納骨式
四十九日以後の納骨式では、落ち着いた色合いの平服で参列できます。納骨式での平服は、略式喪服を意味する場合がほとんどです。
ただし、四十九日をすぎて間もない場合や地域性によっては、平服だと失礼にあたる可能性もあります。「一周忌までは喪服を着用する」「地域のしきたりを確認しておく」など、遺族側に配慮した服装を心がけましょう。子どもが参列する際の服装は、四十九日以前・四十九日以降のいずれも学校の制服や落ち着いた色の服装が適しています。
納骨堂で行う納骨式のお供え物
納骨式のお供え物には、祭壇の左右に飾る花(供花:きょうか)を用意します。花の種類は、基本的に供花であればどのような種類でもよく、季節の花を取り入れることもできます。ただし、においの強いもの・トゲのあるもの・花や花びらがすぐに散るものは、縁起が悪いとされるので避けなければなりません。
供花以外では、お菓子やお酒、丸餅などが持ち寄られるほか、遺族に渡す香典は必ず準備しましょう。納骨堂側で許可しているお供え物があらかじめ決まっているときは、それぞれの決まりに準じます。食べ物や飲み物は腐敗を避けるために禁止されている場合があるので、事前に確認しましょう。
納骨堂で行う納骨式の流れ
納骨式を行う時期は特に決められていないものの、一般的には四十九日や一周忌法要のときに併せて行うケースが多い傾向にあります。葬儀後すぐに納骨式を行うのは大変であるため、ある程度落ち着いたときに行うとよいでしょう。また、納骨式に参加してもらう親族や知人などのスケジュールを合わせる必要もあります。
ここでは、納骨堂で行う納骨式の流れを解説します。
当日までの流れ
納骨式を行う日が決まったら、当日までに必要書類を用意するほか、お墓がない場合はお墓を準備する必要があります。必要書類は、遺骨の身元が分かるものを火葬許可証と一緒に用意します。お墓がない場合は四十九日法要までに準備するのが望ましいものの、難しければ遅くても一周忌までには準備しましょう。すでにお墓がある場合は、遺骨の名前を彫ってもらい納骨式に合わせ準備を進めます。
その他、お供え物の用意や参列者への連絡も行います。必要な場合は料理やお茶も準備しましょう。
当日の流れ
納骨式当日は、参列者への挨拶から始まります。忙しい中参列してくれた親族や友人、知人、僧侶に向けて感謝の気持ちを伝えましょう。故人が生前に受けた厚誼へのお礼をはじめ、近況や今後に対する親族の気持ちを述べ、会食がある場合は納骨式後にもてなしがあることを案内するのが一般的な流れです。
納骨式では僧侶が納骨の前で読経を唱え、終わると遺骨をお墓または納骨室へ納めます。納骨式で僧侶が読むお経は「納骨経」と呼ばれ、故人を供養する意味合いがあります。再び読経を唱えたら焼香をして儀式は終了です。納骨式後に会食を行う際は、会食の前に納骨式を滞りなく済ませられた旨や、僧侶と参列者への感謝といった簡単な挨拶を行います。
納骨堂で行う納骨式に必要な費用
納骨式にかかる費用は、四十九日や一周忌法要と一緒に行うときと式のみ行うときで変わります。一般的にお布施・お車代・御膳料・御塔婆供養料に加え、お供え物やお花などの費用も必要です。お車代は5千円~1万円程度が目安で、お布施とは別に表書きに「御車代」と記入した包みを僧侶に手渡します。お車代は、僧侶を呼ばない場合は不要です。
御膳料は僧侶が会食に同席しない際に包むお金で、相場は5千円~1万円程度です。御塔婆供養料は塔婆を立てるときに必要になります。不要であれば費用は発生しませんが、必要な場合は1本あたり2千円~5千円程度かかります。
まとめ
納骨堂とは、個人、夫婦、家族といった単位で遺骨を納められる室内墓地です。利用する際の費用には「永代供養費」「管理費」「法要料」などがあり、利用期間ごとにプランを選べるのが特徴です。納骨堂にはロッカー式をはじめ仏壇式、位牌式といった種類があり、価格相場は異なります。
納骨堂で納骨式を行う場合は、お墓や納骨式に必要な費用を準備し、日程を決めて参列者に連絡します。儀式当日は、まず参列者へ挨拶をして、納骨と読経、焼香を終えた後は簡単な挨拶をしてから会食に移りましょう。納骨式に必要な費用は、お車代や御膳料、お供え物とお花の費用などが挙げられます。